経年熟成
この茶箪笥がつくられた時から長い年月が経ち、生活の中で意図せずついた傷や汚れ。それらをオリジナルの意匠として活かし、透明な厚みのあるコーティングで閉じ込めています。
人為的にはつくることができない味わい深い表情はそのままで、表面はツルツルぴかぴかに仕上がりました。
商品詳細
商品名 | けやきと杉の茶箪笥 |
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品番 | B0967 |
サイズ | 幅959×奥行390×高さ935(mm) |
茶箪笥が仕上がりました。
長い年月の間についた汚れやキズ、金具のサビなどをそのまま残し、その上にクリアのウレタン塗装を何度も重ねて、表面をツルツルに仕上げています。
こちらが入荷時、リペア前の状態です。
ダメージが大きかった背板は新しい材料で張り替えています。
上部には引き違いのガラス戸。右の戸のガラスが割れていたため、取り換えました。このガラスは、ストックしている古ガラスを再利用しています。
戸を開けると、中には固定の棚板が1枚。
内部はサンドペーパーで研磨し、クリーニングを行いました。引き戸は調整済みです。
下には引き出しが合計5杯。
前板はけやきの無垢材で、力強く美しい木目です。黒くサビた引手との相性も良好。引き出しの動きは調整済みで、底板は新しく張り替えています。
引き違いの戸は杉でつくられています。板の部分は、木目が浮き立ち凹凸があり、表情豊かです。
古家具を修復する時は、取り掛かる前にどのように仕上げるかを検討します。
削り直したり、新しい材料で作り替えたりすれば、きれいに修復することはできます。極端な話ですが、全て新しい材料で同じ形の家具をつくることも可能です。そんな中どこまで手を加え、何を残すかの加減が非常に悩むところです。
古い家具の状態は様々で、全て一点モノです。毎回その家具に向き合い、仕上げの方向性を検討しています。
今回の茶箪笥は、意図してつくることが難しい味わい深い表情が非常に魅力的だったため、それを出来るだけ残すことを念頭に置いて仕上げました。
何度も塗装を繰り返し、実際に使用する際に汚れが手や服などにつかないよう、厚い透明な塗装でしっかりとコーティングしています。
表面に水を張ったような仕上がり。
クリアの塗装を塗り重ねることにより艶が生まれ、木目がくっきりと鮮やかに浮かび上がりました。
長い年月を経た跡を意匠として活かし、味わいはそのままに現代の塗装を施して仕上げた逸品です。
左の側板には忍びの者が・・・