二本松箪笥

二本松箪笥が仕上がりました。

　

長い年月の間に付いたキズなどの雰囲気は残し、あまり手を掛けずに時代の味そのままで仕上げとしています。

また、左右に新しく製作した脚を取り付け、本体を床から持ち上げています。痛みが大きかった背板は、新しく合板で張り替えました。

　

本体は杉の無垢材でつくられています。細かなキズひとつひとつを見て、この箪笥が過ごしてきた時間の流れに思いを馳せます。

　

箪笥の顔。深みのある赤に、凝った金具が映えます。

　

右下のガメ戸の中には引き出しが２杯。

　

丸金具には真鍮の松と蝶。

蝶の金具は釘を軸に回転するように動きます。蝶の金具をスライドさせると、その下に鍵穴が隠れています。

　

こちらの箪笥には当時のカギが一本付属します。鍵が使用できるのはガメ戸の1カ所のみで、他の引き出しにはカギはありません。写真の右側の黒い金具は、鍵を閉めるときに連動して動きます。こちらの金具は鍵が無くても左にスライドさせると鍵がかかりますが、開けるときは鍵が無いと開けられません。そのため、ガメ戸の中に鍵がある状態でこの黒い金具をスライドさせて閉めてしまうと、開けられなくなってしまうためご注意ください。扉以外の引き出しの鍵は、誤ってかかってしまわないように、金具内部で固定しています。

　

引き出しは全てスムーズに動くように調整済みで、底板は合板で張り替えています。

　

古い和箪笥とモダンなVレッグの組み合わせ。

　

高さは747mm程度です。

　

今回は同じ二本松箪笥で、引き出し2杯・ガメ戸なしのものも一棹製作しました。二棹並べるとなかなかの迫力です。もう一棹のガメ戸なしタイプは上の写真をタップもしくはクリックでご覧いただけます。