満月の箪笥

時代箪笥のリメイクが仕上がりました。

　

こちらが入荷時、リメイク前の状態です。

　

本体は一度金具を全て外し、木部の割れなどを補修した後に全体を研磨しています。その後着色し、クリアの塗装を施して仕上げました。

　　

そして何と言っても目を引くのが、箪笥の正面に取り入れた円の表現。

白っぽい円の部分には毛皮を使用しています。

　

正面の円の部分は、毛皮の厚み分を彫り込んで埋め込むようにして貼り上げました。もともと魅力的な箪笥でしたが、毛皮が一際目を引くアクセントに。

　

引き出しの前板は桐材。

　

前板は木目を浮き立たせて陰影を強調し、桐材の豊かな表情を引き出して仕上げています。

　

金具は一度全て取り外し、錆を落としてから塗装し、ひとつひとつ元のように取り付けています。

　

正面の中央には閂（かんぬき）。

閂を外すと、引き出し4杯のシンプルな構成です。

　

閂には当時の鍵が一本付属します。上部に鍵穴があり、施錠可能です。

　

鍵穴下の黒い金具は、上にスライドさせると鍵がかかります。こちらの金具は鍵が無くても施錠可能ですが、開けるときは鍵が無いと開けられません。引き出しの中に鍵がある状態でこの黒い金具をスライドさせて閉めてしまうと、開けられなくなってしまいますのでご注意ください。

　

割れがあった引き出しの底板は、新しくシナ合板に替えています。

　

サイズ感。高さが891mm程度です。

　

毛皮のふさふさとした毛並みは、思わず撫でたくなる質感。

桐の箪笥の正面に突如として現れる毛並みが、不思議な印象を与えます。鉄の黒い金具との相性も良く、二つとない個性的な箪笥に仕上がりました。